Bill EvansのアルバムWaltz For Debbyが好きだ。

このアルバムは、1961年6月25日ビルがヴィレッジヴァンガードで行ったライブを収録したアルバムとなっている。それから、11日後7月6日、ベーシストであるスコット・ラファロが交通事故で他界したため、ジャズピアノの価値観を広げたピアノトリオ最後のアルバムである。ビル以前までジャズ演奏においてはベースやドラムはピアノに一歩引いての演奏が主流であった。しかし、ビルのピアノトリオは今までの常識を打ち砕き、ベース、ドラムともに重視していた。

ラファロの演奏はベースはサポート楽器という暗黙のイメージを解き放ち、旋律を奏でている。

何度も聞いても楽曲の美しさには心が落ち着き、満たされ、包み込む。ライブ演奏であるからこその、客席の声が聞こえ、拍手が鳴る。あの場所にいた人たちはなんて幸せだろうと羨ましく思う。でも、目をつむり、神経を集中させると、まるでライブハウスにいるかのように、ビルがいてはラファロがいてモチアンがいる。

今日も聞いてベットに横たわり、そのまま寝よう。なんて素晴らしいのだろう。